本インタビューについて
現在、ドイツ7部のクラブでプレーしている近藤勇輔さんとの対談です。海外挑戦をサポートしているエージェントはWorld Football Connectionさんです。(以下、敬称略)
プロフィール紹介
◯名前:近藤勇輔(Yusuke Kondo)
◯出身:北海道函館市
◯所属クラブ:
→ サンスポーツ函館
→ フロンティアトルナーレU-12
→ 北海道教育大学附属函館中学校サッカー部
→ 札幌第一高等学校サッカー部
→ 新潟医療福祉大学サッカー部
→ SV Bosnier(ドイツ7部)
→ FC Eddersheim Ⅱ(ドイツ7部)
Q. 近藤選手のサッカー歴と、海外挑戦までの経緯を教えてください。
近藤:小学生からサッカーを始めて、現在で18年くらいになります。北海道の函館出身で中学の時は小さいクラブチームでプレーしていました。高校まで北海道の学校の部活でサッカーをして、大学は新潟医療福祉大学のサッカー部でプレーし、卒業後にドイツへと渡りました。
サルウェブ:海外挑戦を意識し始めたのはいつからなのでしょうか?
近藤:海外のリーグは昔から見ていましたが、自分が挑戦しようと思うようになったのは最近になってからです。
サルウェブ:就職活動(一般的に大学3年~4年頃)のタイミングで日本で就職するか、海外挑戦するか、という点で悩む学生も多いですよね。そのような迷いはありましたか?
近藤:そうですね。自分は医療系の大学に通っていたので、就活のタイミングが大学4年生の夏からで普通と比べると遅かったんです。なので、海外に行くかどうか考える時間もあまりなかったのですが「サッカーでプロ選手になりたい」と考えていたので、親とお金のことも含めて相談した上で、それを達成するために就活ではなく海外挑戦を決断しました。
サルウェブ:海外に挑戦しようと決めてから、一番最初に始めたことは何でしたか?
近藤:周りで海外に行っている人もあまりいなかったのでまずはネットで調べました。ただ、実は最初から海外のことを調べていた訳ではなく、Jクラブとかのトライアウトを調べていくうちに海外のトライアウトの情報も出てきて、それで初めて興味を持ったという流れでしたね。
"安心か、安全か"を軸に行ったエージェント選び
サルウェブ:ご自身で海外挑戦について調べる中で、どれくらい情報は集められましたか?
近藤:正直、全然分からないことばかりでした。その上、自分は英語も喋れないのでエージェントに頼らないといけないと思って、ちょうど色々と調べる中でサルウェブさんを見つけてすぐに相談しました。
サルウェブ:サルウェブのサービスに対しての印象はいかがでしたか?
近藤:すごく丁寧に対応していただけました。エージェントを紹介していただいた後も、どのエージェントが良いのかというところも相談させてもらって。丁寧に色々と教えていただけたなと思います。
サルウェブ:ありがとうございます。最終的にエージェントを決める上で、近藤さんが大事にした点はありますか?
近藤:まず海外に行ったことがなかったので、”安心・安全かどうか”っていう、治安の部分を気にしました。詐欺とかも多いというのはネットなどの情報で知っていたので、安全なところが良いなという風に思って。
あとはお金ですね。そういった不安に思っていたところが大丈夫かどうかは(エージェント選びを行う上で)意識していました。
サルウェブ:近藤さんは、World Football Connectionさんと契約してドイツに渡りました。エージェントによって色々な違いがあると思いますが、何が決め手となりましたか?
近藤:まず、自分は大きな会社の方が安心できるなというのがありました。なので(会社の)規模感を中心に絞っていきました。あとは、実際にエージェントと話した時の雰囲気だったり、会社の方針が自分と合うかどうかという部分で判断しました。
サルウェブ:海外に対する不安をエージェントさんを通じて解消されていった形ですね。
近藤:そうですね。ほとんど何も分かってない状況からスタートして、調べるにしてもイマイチ欲しい情報が出てこなかったんですけど、エージェントさんに相談すると実際の現地の様子とか、過ごし方を聞くことができて、現地での生活がイメージできたのですごく助かりました。
Q. 渡航までの準備と現在に至るまでの経緯について教えてください。
近藤:World Football Connectionさんと実際に契約したのは、たしか2022年9月~10月あたり。その後、2023年3月後半に渡航しました。
サルウェブ:契約してから渡航するまでの間、日本でどのような準備をしていましたか?
近藤:World Football Connectionさんがドイツ語教室を開いていたので、ドイツ語での自己紹介とかは最低限勉強しました。あとは、実際にドイツで生活している人のYouTubeを見たりもしていました。
サルウェブ:ドイツに渡航して初めに所属したチームはどのようにして決まったのでしょうか?
近藤:World Football Connectionさんを通じて、始めから7部のチームと契約だけしてもらっていたので、そこのチームに所属をしながら別のチームのトライアウトも受けていました。現地でプレーできて生活に慣れていきながら、別のクラブにもチャレンジできるという環境はすごくありがたかったなと思います。
今は当初のチームから別のチームに変わってしまったのですが、現在も(エージェントが保有している)寮のような場所で生活させてもらっています。その寮には日本人選手だけが住んでいるので、安心でもありますね。
サルウェブ:現在は何のビザで渡航されてるんでしょうか?
近藤:初めは90日間の観光ビザで渡航しました。その後、6月頃に一度日本に帰国し、今は(再渡航して)語学ビザでドイツに滞在をしています。ビザの発行に必要な書類などもエージェントさんが用意してくれたので、あまり大変ではなかったです。
サルウェブ:契約エージェント(World Football Connectionさん)に対する印象や関係性はどうですか?
近藤:他のエージェントさんを知らないのでなんとも言えないですが、ビザだったり住む場所だったり、生活面で非常に助けてもらっていますし、サポートは手厚いと思います。ドイツで長年エージェントをされていることもあって、求めていた”安心・安全”という部分では、自分の希望と一致しているなと思います。
エージェントさんとはLINEでも繋がっていて何かあれば連絡したら対応してくれるので、(距離的にも)近い関係ではあるんじゃないかなと思っています。
Q. 現地のトライアウトの雰囲気や内容について教えてください。
近藤:前提として、チームによって違うと思いますし、時期によっても(トライアウトの)内容は変わります。例えば、試合前であれば試合に向けた調整を行うのであまり強度は高くないですね。
自分が参加したトライアウトはWorld Football Connectionさんに紹介していただいたこともあって、日本人も結構多く、ウェルカムな雰囲気で優しい人が多かったです。
サルウェブ:トライアウト前と後(合格後)で、クラブの選手に対する印象は何か変わりましたか?
近藤:そうですね。チームメイトになってからはもっと優しくなるというか、仲良くなるので、そんなに対応が変わることはないです。
サルウェブ:プレーの面で日本と海外の違いを感じた点はありますか?
近藤:現在自分が所属しているクラブはドイツ7部で、まだそこまで(カテゴリーが)高いリーグではないですけど、体(フィジカル)は強いと思います。体格も日本人と違うのでそこは日本との大きな違いですね。
ただ、やっぱりアジリティの部分で小回りが効くのは日本人の特徴だと思います。特に自分はドリブルが特徴でもあるのですが、日本人よりも抜きやすい印象です。
サルウェブ:なるほど。練習内容でドイツと日本の違いを感じることはありますか?
近藤:自分が最初に所属していたチームはほとんどミニゲームしかやらなかったですね。チームによって変わると思いますが、ドイツ人は結構ミニゲーム好きなんじゃないかなと思います。ハーフコートくらいの大きさで6対6とか7対7をたくさんやる感じです。
その中で、ドイツの監督はどんなプレーをした方が良いか、しない方が良いかを結構言ってくるので、プレーを一回止められて説明を受けるということはよくあります。
サルウェブ:日本にいるときよりも、一つ一つのプレーに関して(監督から)言われることが多いということですね。
近藤:はい。監督からもそうですし、チームメイトからも結構言われます。練習でも感情的になる人が多くて、そのまま帰っちゃう選手もいますね(笑)
ドイツの地で認められるために、とにかく"結果"を残す
サルウェブ:ドイツでサッカーをしていて、海外の厳しさを感じた部分はありますか?
近藤:練習参加して最初は挨拶とかすごくフレンドリーなんですが、いざ練習が始まると最初は呼んでもパスしてもらえなくて。そういった部分は日本にいるときよりも目に見えて厳しいと思います。逆に、自分がプレーをできることさえ(チームメイトに)示し、認めてもらえればパスはくるようになるので、結果という部分は意識しています。
あとは、自分は前線の選手ということもあって、ミスをしないことも大事です。特に練習参加しているときは一つ一つのプレーに気を遣ってプレーしていました。
試合に出るためには監督からもチームメイトからも認められないといけないので、この辺りは頑張らないといけないですし、日本よりもシビアだと思います。
サルウェブ:なるほど。そういった厳しい環境下でプレーしていて、自分が成長したと感じる部分はありますか?
近藤:決定力は上がったと思います。チームにすごく点を決める選手がいるので、彼を見ることで自分のプレーも変わってきたと思います。
サルウェブ:良いお手本がいるということですね!コミュニケーションの面で苦労したことはありますか?
近藤:最初はチームの日本人選手にドイツ語を話せる選手がいるので、その人を通じて練習内容を聞いたりしていました。自分のいたチームは日本人が多かったこともあって、監督からのプレーに関する指示はボードとかを使って理解できるように説明してくれていました。
あと、ディフェンスの時に「この人につけ」みたいに日本だったら伝えられることをドイツでは伝えられないので、ドイツで不自由を感じるところはあります。ただ、サッカーの全体的な内容はあまり変わらないですし、チームの中で共通認識があるのでなんとかなりますね。
Q. ドイツでの生活について教えてください。
近藤:(寮に)日本人がたくさんいて、わからないことがあればドイツ在住歴が長い人に聞けば良いのでその点は助かっています。
ただ最初は、例えばスーパーに行っても全てドイツ語なので何を買えば良いか分からなかったり、電車の乗り方とか、切符の買い方とかも分からなかったので、慣れるまでは大変でした。
サルウェブ:(ドイツと)日本との違いやカルチャーショックなどはありますか?
近藤:(ドイツも日本も)正直あまり変わらないです。治安に関しても、自分が住んでいる地域は行っちゃいけないエリアとかも特に言われていなくて、夜もそんなに危険だったり怖い感じではないので。
その上で違うところは、駅の改札がないとかですかね。切符を買わなくても電車には乗れちゃうんです(笑)ただ、電車の中で切符を買ったかどうか確認されて、持ってないと罰金になるのでみんなちゃんと買ってます。他に生活は特に変わらないですし、カルチャーショックを感じることはあまりないですね。
サルウェブ:過ごしやすそうな環境ですね。ドイツ人は結構真面目な方が多いと聞きますが、どうなんでしょうか?
近藤:ドイツ人は規律がしっかりしていて真面目という部分は日本人と似ているかもしれないです。自分が今いるチームは遅刻すると10〜15ユーロほどの罰金があるのですが、そういう制度があるのは日本かドイツくらいなんじゃないかと思ってます。
サルウェブ:サッカーのスキル面以外で、海外に挑戦する前と後で(近藤選手の中で)変化はありますか?
近藤:言葉が通じないところで生活しているので、ちょっとやそっとのことで動じなくなったと思いますし、色々な人と出会う中で視野が広がりました。
あとは、サッカーをプレーすることでお金をもらっているプロのような環境なので、日本の大学にいた時よりもチームとして勝たないといけないという気持ちが強くなりました。
25歳までにプロになる。
サルウェブ:クラブからの給料はどのようになっているのでしょうか?
近藤:現在所属している7部のクラブだと、固定給のクラブもあれば、結果(出場給や勝利給など)に応じて給料が貰えるクラブもあります。
サルウェブ:なるほど。普段のチーム練習や試合がない時間はどのように過ごされているのでしょうか?
近藤:自分は練習が大体週に2回~3回くらいなので活動がない日の方が多いのですが、近くに日本人がたくさんいる練習場があるので、そこでボールを蹴ったりして体を動かすようにしています。あとは語学学校にも通っているので、午前中は学校へ行き、午後から練習に行きます。語学ビザで滞在しているためアルバイトはできません。
サルウェブ:日本と比較すると(ドイツの)リーグのレベル感はいかがでしょうか?
近藤:自分が所属しているドイツの7部だと日本の地域リーグくらいのレベル感かなと思います。ただ、(ドイツの)6部〜8部にかけてはそこまで変わらない印象です。
自分が前にいたクラブは去年まで6部にいましたが、今年は7部で中位くらいなので(リーグ間に)そこまで大きな差はないと思います。一方で、現在自分が所属しているチームは5部所属のチームのセカンドチームで、試合の時にトップのカテゴリーから選手が落ちてくるのですが、その選手たちは7部の選手たちよりも走れますし(レベルが)違うなと感じます。
Q. 今後のキャリアの展望について教えてください。
近藤:大きい目標としては「25歳までにプロになってプレーしたい」と考えています。あと1年半しかないのでそこに向けてやれることをやっていきたいです。ブンデスリーガ3部とかでキャリアを続けていきたいと思っているので、そこを最終目標にして取り組んでいます。
サルウェブ:なるほど。ちなみに、医療系の大学を卒業されたということですが資格などは取られたのですか?
近藤:「義肢装具士」という資格は取りました。
サルウェブ:すごいですね!海外挑戦を見据えながら資格をとるのはなかなか大変だったかと思うのですが。
近藤:資格の試験が3月だったので、ギリギリまで試験勉強して、合格通知をもらってからすぐにドイツに行くという流れでした。
やはりサッカーだけで生きていくのは難しいので、セカンドキャリアのことを考えると(義肢装具士のような)資格を持っていることで少しは安心できるかなと思いました。
ただ、自分は靴のインソールなどに興味があるので、引退後にはサッカー選手用のインソールに携われたらとも思っています。
Q. 最後に、海外挑戦を考えている日本人選手たちにアドバイスをお願いします。
サルウェブ:ありがとうございました。最後に、海外挑戦を考えている日本人選手へのアドバイスはありますか?
近藤:やはり"情報"は大事だと思います。自分は急に決断して、急いで準備して、良く分からないままドイツに来てしまったので。(サルウェブやエージェントなどを)色々と上手く活用して、渡航する前にしっかり準備をした上で、海外でのサッカーに全力で取り組んでください。