海外へと渡航する際に必ずと行っていいほど耳にするビザについて、将来海外でプロサッカー選手になりたいと考えているのであれば、最低限理解しておく必要があります。また、渡航目的や渡航先の国によって必要となるビザが異なるので、海外で生活する上でビザの存在は切っても切り離すことができません。
本記事では、知っておきたい最低限のビザの仕組みについてご紹介していきます。
目次
渡航先での滞在期間によって必要なビザが異なる!
結論からお伝えすると、基本的には渡航期間が90日(3ヶ月)を超えるか、もしくはそれ以内なのか、によって取得しないといけないビザが異なります。
給料をもらって海外でサッカーをする場合は、必ず就労ビザ(もしくはワーキングホリデービザ、就労可能な学生ビザ)が必要です。とても重要なことなので覚えておきましょう。
90日以内の滞在の場合
90日(3ヶ月)以内の渡航の場合は、観光ビザ(通称ノービザ)と呼ばれる一番簡単なビザで渡航することができます。また、日本人であればパスポートを保有しているだけで、観光ビザを持たずに多くの国へと渡航できます。(2019年6月時点で189ヵ国へはパスポートのみで渡航できます。)
すなわち、90日以内の滞在であれば、基本的にはビザを取得せずともサッカーを留学することが可能です。イングランドへの留学の場合は、180日以内の滞在であっても同様にビザを取得する必要がありません。
90日を超える滞在の場合
一方で、90日を超える滞在の場合、基本的にはビザの取得が必要です。ビザの種類はいくつか存在(後ほど解説)しますが、長期留学の場合は「学生ビザ」と呼ばれるビザを取得するのが一般的です。
また、プロ選手として長期間滞在することを考えると、長期滞在ができるビザ(就労ビザなど)を取得しやすい国を狙う必要があります。
ちなみに、イングランドは長期滞在が可能なビザの取得が非常に難しく、プレミアリーグでプロ選手として日本人が長期間滞在することは実質ほぼ不可能に近いです。元マンチェスターユナイテッド所属の香川真司選手やレスター・シティ所属の岡崎慎司選手のように日本代表クラスの選手ではないとビザの関係上、プレミアリーグでプレーすることができないと言われています。
ビザの申請から取得まで、自分ですべてやる方法もありますが、一番確実なのはエージェントに任せることです。ビザや現地の状況についてはエージェントが一番詳しいので、必ずエージェントと相談しながらビザを取得するようにしてください。
ビザとは?ビザとパスポートとの違い
そもそも、ビザとはパスポートとどう違うのか?が曖昧な人のために、ビザとパスポートの違いを解説します。
ビザとは?
海外の国に入国するための【許可証】。何を目的として入国するのかによって、発行されるビザが異なる。
パスポートとは?
最も国際的通用度の高い【身分証明書】。パスポートは自分の身分を証明するものであり、「自分が何者か」を表す。
海外に渡航するためには、ビザとパスポートの両方が必要不可欠であり、そもそも保有していないと渡航できなかったり、現地でトラブルのもとになります。ただし、上でも述べたとおり90日以内の滞在であればビザがなくても渡航できるケースがほとんどです。
ビザにはどのような種類がある?
ビザの種類はたくさん存在するだけでなく国によっても様々なビザが存在します。サッカー留学に行くのであれば、最低限以下の種類だけでも抑えておきましょう。
- 観光ビザ:「旅行」が目的のビザ ※取得不要なケースが多い
- 学生ビザ:「留学(勉強)」が目的のビザ
- 就労ビザ:「海外で働くこと」が目的のビザ
- ワーキングホリデービザ:「留学と就労の両方」が目的のビザ
ワーキングホリデーとは?
ワーキングホリデー(制度)とは、「18歳から30歳までの日本国民が海外に長期滞在することができる制度」のことです。年間で2万人ほどの日本人がワーキングホリデー制度を利用して海外で生活しています。
本来、勉強目的の渡航であれば学生ビザ、仕事目的の渡航であれば就労ビザが必要ですが、ワーキングホリデービザであれば「勉強しながら就労(仕事)もできる」というのがワーキングホリデービザの最大の特徴です。ワーキングホリデービザを取得して、サッカーで給料をもらいながらプレーしている選手も多く存在します。
ちなみに、ワーキングホリデー制度では日本が提携している国にのみ渡航することができます。また滞在期間は1年~2年ほどで、国ごとに決まっています。
日本が提携している国(英語圏)
- オーストラリア
- イギリス など
日本が提携している国(英語圏以外)
- ドイツ
- フランス
- デンマーク
- ノルウェー
- スペイン
- オランダ
- アルゼンチン など
ワーキングホリデー制度には注意点もあります。一度ワーキングホリデーで訪れた国に、再びワーキングホリデービザで渡航することはできません。また、ワーキングホリデービザの取得に関して、渡航先の国ごとに渡航可能人数の制限を設けられているため、定員に達していた場合は抽選になります。誰しもが絶対にワーキングホリデービザを取得できるわけではない、ということです。
ワーキングホリデービザは、渡航3ヶ月前から申請が可能です。手数料として2千円~4万円程度がかかりますが、海外で働きながら勉強したいと考えている人にとってはメリットの大きい制度なので、興味のある方はぜひ検討してみてください。
国別に見るビザの種類
【欧州】イタリア、スペイン、フランスなど(シェンゲン協定加盟国)
これらの国は「シェンゲン協定加盟国」であり、記事の冒頭でもお伝えしたように90日以内の滞在であればビザの取得は不要です。パスポートのみ保有していれば問題ありません。
シェンゲン協定とは?
協定を結ぶヨーロッパ28ヶ国の移動を自由において、国境管理をなくす一方で、出入国管理のルールを統一。日本国発券のパスポート保持者は、シェンゲン・ビザが免除されており、シェンゲン圏内であれば自由に行き来することができる。
90日を超える滞在の場合は、学生ビザの取得が必要です。在日の大使館に申請を出し、おおよそ1ヶ月以内には申請に対する回答通知が来ます。近年では、オンライン上でビザの申請~取得ができる国も増えてきています。ビザの申請方法は国によって異なるので調べてみてください。
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ドイツの学生ビザは4種類も存在する!
ビザの種類 | 就労(仕事) | 年齢制限 | 滞在期間 |
---|---|---|---|
語学学生ビザ | 不可 | なし | 最長1年間 |
学生準備ビザ | 可(2年目以降から) | なし | 最長2年間 |
学生ビザ | 可 | なし | ※在学している期間であれば |
ワーキングホリデービザ | 可 | 18~30歳まで(申請時点) | 最短3ヶ月~最長1年間 |
ドイツも、同様にシェンゲン協定に加盟している国の一つです。
ドイツに勉強目的で渡航する場合、以下の4種類の学生向けのビザが存在するので紹介いたします。ワーキングホリデービザ以外のビザは、現地でビザの申請を行えば問題ないので、日本でビザの申請は不要です。
語学学生ビザは、語学学校への通学を目的としてビザです。このビザは生涯で一度しか取得することができません。
学生準備ビザは、ドイツの大学に入学するために語学学校+公立の教育機関(Studienkolleg)への通学を目的としているビザです。それに対して、学生ビザはドイツの大学への通学を目的としているビザです。これらのビザを取得するためには、現地大学の入学許可証が必要となります。
ワーキングホリデービザの場合は、ビザの延長・再取得ができないので注意しましょう。ワーキングホリデービザの申請は、日本でも現地(ドイツ)でもすることができます。
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【欧州】イングランド(イギリス)
ビザの種類 | ビザの対象者 | 滞在期間 | ビザ申請費用 |
---|---|---|---|
学生ビザ【Short-term study visa (Up to 6months)】 | 就学する学生(ビザ申請は不要) | 6ヵ月以内 | £97 |
学生ビザ【Short-term study visa (Up to 11months)】 | 英語・語学学校へ通う学生 | 7ヶ月~11ヶ月以内 | £186 |
普通学生ビザ【Tier 4 student visa】 | 大学・専門学校などへ通う学生 | 12ヶ月以上 | £348 |
イギリスは、ヨーロッパの中でもビザ取得が特に難しい(審査が厳しい)ことで有名な国です。イギリスはシェンゲン協定にも加盟していないため、他のヨーロッパ国(イタリアやドイツなど)と多少ビザのルールが異なります。少しだけ注意しましょう。
イギリスでのビザの特徴としては、シェンゲン協定加盟国だと90日間以内の滞在であれば(日本国発券のパスポートだと)ビザ不要でした。しかし、イギリスの場合は180日以内の滞在であればビザ申請が不要です。「イギリスはビザの取得が難しい」と言われている一方で、観光などで一時的に訪れる場合であれば半年近くの滞在が許されているので、短期~中期の滞在をしたい人にとっては嬉しいでしょう。
イギリスで労働ビザを取得できる日本人選手は"ほんの一握り"
非常に残念ながら、日本人のサッカー選手がイギリス(イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランド)でプロ選手として継続的にプレーをし続けることは、ビザの関係上、非常に難しく現実的ではありません。
なぜなら、22歳以上の外国籍選手がイギリスで労働ビザを取得するためには、下記の条件を満たす必要があるからです。
- FIFAランキングが50位以内の国の選手であること
- FIFAランキング30位以内の国の選手は、過去2年間の自国フル代表としての公式戦出場率が30%以上であること
- FIFAランキングや代表出場歴に関係なく、移籍金1,000~1,500万ポンド(約19億5000万~29億円)以上の市場価値のある選手であること
※引用:https://web.ultra-soccer.jp/index/index/c/Transfer/id/page_6_1
すなわち、現在プレミリーグで活躍している南野拓実選手や岡崎慎司選手のように、日本代表メンバーとして名を連ねている選手でない限り、プレミアリーグで継続的にプレーするということは(ビザの関係上)難しいということを頭に入れておきましょう。これはイギリス全体で、自国選手の出場機会をしっかりと確保したいという考えがあり、このようなルールになっています。
【北米】アメリカ
日本からアメリカに渡航する場合、ESTA(エスタ)の取得が義務付けられています。エスタとは、"Electronic System for Travel Authorization"の略で、日本語に訳すと「電子渡航認証制度」です。
90日間以内の滞在の場合、ESTA(エスタ)さえ取得していればビザ取得は必要ありません。渡航72時間前までにオンラインで申請を済ませる必要があり、申請料金は14ドル、有効期限は2年間です。
一方、90日を超える滞在であったり米国内の学校に留学する場合、ESTA(エスタ)ではなくビザの取得を推奨されています。アメリカの学校へ留学する場合は、F-1ビザもしくはM-1ビザのどちらかを取得する必要があります。米国内の認定大学や語学学校などに通う場合はF-1ビザ、それ以外の学校(専門学校など)に通う場合はM-1ビザの取得が必要です。
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【オセアニア】オーストラリア
オーストラリアへのサッカー留学の場合、90日以内であればETAS(イータス)の取得が必要です。ETAS(イータス)はオンラインでの取得が可能で、ETAS(イータス)さえ取得していれば渡航においてビザ取得は不要です。
90日以上の長期滞在の場合、学生ビザが必要となります。条件として、「政府認定校のクラスを25時間/週以上の受講」と「各学期80%以上の出席率」が課されている一方で、20時間以内/週の就労も認められています。
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ビザの申請に必要なもの
ビザの申請に必要なものをまとめてみました。あくまで一般的なものだけを記載しているので、実際にビザを申請・取得する際には何が必要か調べてから行動するようにしてください。
- 査証申請書
- 健康診断書
- 宿泊証明
- 海外留学保険
- 航空券の予約確認書
- 銀行通帳や給与明細などの経済能力を証明できるもの
- 無犯罪証明書
- 渡航同意書(申請者が18歳未満の場合)
- 入学許可証(現地の学校に通う場合) など
まとめ
繰り返しにはなりますが、サッカー留学に行く上でビザの申請~取得もすべて自分で行うのは相当大変です。
留学エージェントは現地クラブとの調整だけでなく、ビザ取得のサポート(代行)やアドバイスをしてくれます。ビザ関連でのトラブルは大事にもなりかねないため、少しでも不安なことがあればすべてエージェントに相談することをおすすめします。