File5. 三浦 龍優/Ryuya Miura

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アメリカの大学サッカー部でのプレー画像

本インタビューについて

現在、アメリカの大学(Utah Valley University)のサッカー部に所属してプレーをしている三浦龍優さんとの対談です。(以下、敬称略)

プロフィール紹介

◯名前:三浦 龍優(Ryuya Miura)

◯所属クラブ: ベガルタ仙台
⇨ 聖和学園
⇨ Snow College(NJCAA Div.1)
⇨ Utah Valley University(NCAA Div.1)

 

Q. 三浦選手のサッカーの経歴を教えてください。

三浦:僕がサッカーを始めたのは3歳くらいで、兄が所属していたサッカーチームの練習会に行ったのがきっかけです。

小学校1年生~3年生くらいまで地元の地域クラブに入り、3年生から大体中学2年生頃までベガルタ仙台に所属していました。

中学3年生から1年間は少し環境を変えて、チームを離れ高校の練習会に参加したり、自分で練習したりという時間を過ごした後、宮城県の聖和学園高等学校で3年間プレーしました。

高校卒業後はアメリカのスノーカレッジというジュニアカレッジ(コミニュティカレッジ)に2年半くらい通い、その後はユタバレー大学で現在もサッカーを続けています。

 

"サッカー漬け"の幼少期を経て、アメリカ留学へ

三浦龍優選手の画像

サルウェブ:幼少期のご自身を振り返ってみて、どのようなプレーヤーでしたか?

三浦:そうですね、ありがたいことに、選抜に選んでもらったり、全国の大会に参加させてもらったりしていました。中学1年生くらいまではナショナルトレセンにも選ばれていました。

サルウェブ:ナショナルトレセンに選出されるまではどのような流れなのでしょうか?

三浦:当時はまず監督から声がかかって、宮城県トレセンに選ばれました。

この段階で人数は結構多くて、大体数ヶ月に渡って練習会をする中でさらに選ばれた人が東北トレセンという形で、県外の選手も集まる場でトレーニングをしていく形式です。さらにそこで良い評価をもらうと東日本トレセンになり、確かそのあたりからナショナルトレセンと呼ばれるんじゃないかなと。

ナショナルトレセンでの合同トレーニングで良い評価を受けるとアンダー世代の日本代表に選ばれるという形でしたね。僕はバックアップ選手として選出されたことがありました。

 

サルウェブ:ちなみに幼少期は、どういったトレーニングをされていたのでしょうか?

三浦:僕の父が元々すごく厳しくて。一日中ずっと父と一緒にサッカー漬けでした。

父に怒られて泣きながらとにかくずっとサッカーをやって育って来たという感じですかね(笑)

 

サルウェブ:当時の三浦選手はどのようなモチベーションでサッカーをしていたのでしょうか?

三浦:多分、幼少の頃は本当に好きだからやっていたという感じだったんだと思います。

そんな幼少期を過ごしてきたからか、高校を卒業した時に、実は一旦サッカーをやめようと思ったりもしていたんです。やりきったという感じで、バーンアウトしてしまったというか。

そこから進路を考えていく中で、元々興味のあったアメリカ留学を視野に入れ始めました。

そこでアメリカ留学に関して調べていくと、アメリカの大学(の学費)ってだいたい平均一年間で400万とか500万とかざらにあって、普通に行くとすごく費用が高いんですよね。これに対して、”サッカー留学”という形でスカラーシップ制度(返済不要の奨学金)を利用して行くと、断然安くいけるということがわかってきたんです。

そういったことも含めてもう一度考えたときに、またサッカーを続けてみようという結論に至りました。

 

サルウェブ:プロになるというキャリアはずっとイメージしていましたか?

三浦:そうですね。正直、子供の頃からずっとプロにはなりたくて。でもやっぱり日本の高校からプロになれるというのは本当に一握りじゃないですか。なので現実的にそれ以外の道に進むっていうことも考えながらも、心のどこかではプロになりたいなという気持ちはありました。

現在所属しているアメリカの大学のコーチが元々有名なアメリカ代表の選手で、色んなつながりを持っていることもあり、プロに行く選手も結構いるんです。

もし今シーズン・来シーズンで結果を残して、プロになれる可能性があるのであれば是非目指したいですね。せっかくの良い機会なので。

 

アメリカと日本の大きな違いは、プレー環境とサッカーのスタイル

サルウェブ:アメリカへ渡るとなって、語学の面で不安はありましたか?

三浦:元々英語を全く喋れなかったですし、学校の英語のテストも赤点みたいな感じだったのですが、まあ行けばなんとかなるだろうみたいな感じで行きました。実際、なんとかなっています(笑)

 

サルウェブ:言語の他にも、日本とアメリカの違いを感じた部分はありますか?

三浦:アメリカの大学は、大学の規模や種目数、奨学金の差などによって、NCAA(全米大学スポーツ協会)のディビジョンⅠ・Ⅱ・Ⅲに区分されています。僕の所属する大学はディビジョンⅠの大学なんですけど、まず、日本と比べて環境が全く違います。

学校のスタジアムがすごくきれいな芝のピッチで、試合の時には4,000~5,000人観客が来たり、チームに加入したときはプロみたいなカメラマンが写真を取ってくれて、学校の公式ウェブサイトに自分の顔やキャリアが載ったりとか。

しかも練習着やスパイクも全て支給されていますし、食事などに関しても支給されたクレジットカードで支払いが可能だったりします。

なので、アメリカの大学ではサッカーでお金を全く使わないですね。そこが一つ大きな違いかと思います。

 

もう一つ言えることは、サッカーのスタイルが全く違うということです。

日本は皆テクニックがあって、ボール回しができるといったような上手さがあると思うんですけど、アメリカではやっぱり身体能力の高さがみんな目立ちますね。

前にボールを蹴ってスピードのある黒人選手がどんどん行くみたいなスタイルだったり、大学によってはパスを繋いで運ぶようなスタイルもあったりしますが、スキル的な部分では日本の大学に比べて劣りがまだあるので、そのあたりは結構大きな違いですかね。

 

Q. 留学を決めてから渡米するまでの流れについて教えて下さい。

サルウェブ:三浦さんが渡米したときのことを色々と教えてください。当時、エージェントとは契約していたのでしょうか?

三浦:僕はWithYou(アメリカサッカー留学エージェント)さんと契約して留学をしました。

高校3年生の頃に、WithYouの代表の方から聖和学園の監督に連絡が入っていて。元々、”アメリカ留学に興味がある”という話を聖和の監督にしていたので、こういう人がいるよと紹介してもらったのが、WithYouさんとつながった経緯です。

やり取りをしていく中で、WithYouさんからセレクションの話を頂いたのでチームメイトと試しに参加してみたんです。そこにアメリカの大学のコーチが何人か来ていました。その後、WithYouさんの方から「アメリカの大学が(僕に)興味を示している」という話を聞きました。

お話自体はいくつか頂いたのですが、僕の場合は英語も全く喋れなくて、TOEFLのスコアも全く無かったので、4年生制の大学は不可能だろうという話になり、最初はジュニアカレッジ(2年制大学)に行ってから編入するという方向で話を進めました。そしてWithYouさんからおすすめしてもらったスノーカレッジに決めたという感じです。

サルウェブ:スノーカレッジにはどのくらいの期間通われたのですか?

三浦:2年半くらいですかね。僕は英語のスコアがなかったので、最初にESLという英語専用のクラスに入ってレベル分けのテストを受けました。

4段階の中でも上のレベルであればあるほど一般のクラスに移るタイミングが早くなるのですが、僕はレベル1からだったので、ESLで大体1年間くらい時間を使いました。

残りの1年は一般のクラスで過ごしたのですが、1年間で卒業するのは難しかったので、もう半年ほど追加してクラスを取ったという形です。

サルウェブ:スノーカレッジ在籍時にスカラーシップ(奨学金)は受け取っていたのでしょうか?

三浦:そうですね。(自分の場合は)アメリカの大学でサッカーチームに所属してサッカーをする限りは奨学金をもらえていました。人によっても違うとは思うのですが、僕の場合は1年目から奨学金を頂けたので、比較的安い金額で留学ができたのかなと思います。

 

一時帰国中にコーチが変わり、所属するチームがなくなってしまう

サルウェブ:スノーカレッジで2年半を過ごした後、ユタバレー大学へ編入というしたということですね。

三浦:やっぱり4年制大学を卒業したという成績が皆欲しいので、アメリカのジュニアカレッジに行ったら4年制大学に編入するというのがアメリカでは当たり前なんです。

僕の場合はジュニアカレッジに2年半ほど通ったタイミングで4年制大学からいくつかオファーを頂いていて、ラスベガスの大学に行くことに決めました。(ラスベガスの大学とは)サインもしていたのですが、この時にちょうど日本に帰らなくては行けない事情ができてしまって。

次の学期にはアメリカに戻ってくるということで、ラスベガスの大学の監督と話をした上で一時帰国しました。ところが、ちょうど日本へ帰国しているタイミングで大学のコーチが変わってしまったんです。

新しいコーチは僕のプレーを見たことが無いので「もう君はいらない」みたいな感じになってしまい、オファーが取り消されてしまったんです。それが4月頃で、行く大学が無い状態でした。

でもアメリカには戻りたいし、サッカーしたいから、「とりあえずなんとかなるだろう」という感じでアメリカに戻ってサマーリーグに参加したんです(笑)

そしたらサマーリーグのチームメイトが「うちの大学来ないか?」と誘ってくれて、それがユタバレー大学でした。その次のサマーリーグの試合にはユタのコーチが実際に見に来てくれて、そのまま入学が決まったという感じです。

契約をしていたエージェントのWithyouさんに関しては、留学先の大学を決めたり、ビザ関連のサポートが契約内容の中心でした。アメリカに来た1年目の段階で、僕は(Withyouさんと)契約を更新しなかったんです。

なので、そこから特に話はしていなかったのですが、アメリカでの2年目が終わった頃にもWithyouの代表の方が「調子はどうか」といった連絡をくださったりして。また、行くはずだった大学との契約が白紙になった話も相談させてもらったら、大学のコーチを調べて送ったりしてくださいました。

サルウェブ:渡米してからの住居や生活面は、すべて自分で対応したのでしょうか?

三浦:ジュニアカレッジの頃はチームの寮に入らないといけなかったんです。ご飯は自炊したり学校のカフェテリアを使えたでそこは大して問題なかったです。

今の大学では普通の一軒家にチームメイト何人かと一緒に住んでいます。朝食・昼食は学校のサッカーチームから出るので、自分で用意するのは夜ご飯くらいなんですよね。もちろん大学によっても違ってくると思うんですけど、大して困らないですね。

サルウェブ:チームからのサポートが非常に手厚いですね。

三浦:大学がお金を持っているんですよね。(ユタバレー大学以外で)本当にお金を持っている大学とかだと、1年間でおそらく50億円くらいを稼ぐんですよね。僕の通う大学は普通な方だと思うんですけど、それでも結構手厚いサポートをしてくれています。

 

Q. アメリカでの生活で困ったこと、良かったことは?

サルウェブ:これまでの留学生活で大変だったこと、困ったことはありますか?

三浦:そうですね。僕はアメリカがすごく好きなので、特に目立って困ったことはあまり思い当たらないのですが。。。

一つと挙げるとすると、アメリカの歯医者の治療費がものすごく高いということですかね(笑)

一度、歯医者にどうしても行かなきゃいけない状況になったので行ったのですが、2回行って合計15万円くらいしましたね。

サルウェブ:それは大変でしたね。

三浦:日本の場合だと保険証さえ持っていれば、歯医者でも内科でも保険を使って受診できると思うんですけど、アメリカの場合は歯だけ別の保険なんです。なので、歯の保険証が無いと全額負担になるっていう感じです。

もちろん留学生は学校から指定されている保険に入らなきゃいけないので(歯以外の)身体の保険には入っているんですけど、歯の保険については何も言われていなかったんですよね。

留学生の場合、多分現地のアメリカ人より保険の金額が少し高いんですよね。歯医者なんて年に数回行くか行かないかじゃないですか?そうなると全く歯医者に行かずに保険料で10万くらい払うのと、必要になった時に保険無しで全額支払うのとで(支払金額に)あまり大差が無くなってくるので、絶対入る必要もないんだと思います。

 

アメリカでの生活で価値観が"180度"変わった

サルウェブ:では反対に、留学してよかったという点や得られたことはどういった点でしょうか?

三浦:まずは英語力が身につけられるというのは、アメリカに来てすごく良かったなと思います。

あとは、環境が全く違うので自分の中の価値観が180度変わりました。

日本人とアメリカ人では習慣も価値観も全然違うので。その違いがはっきり目に見えるのが面白いですし、来てよかったなと思いますね。

サルウェブ:「価値観の変化」とは具体的にどういったものでしょうか?

三浦:まず小さいことを気にしなくなったところでしょうか。アメリカ人って結構大雑把ですし、悪いことがあっても「まあなんとかなるだろう」みたいな感じなんですよね。愚痴も言わないし、人間関係でも言いたいことがあったら、ちゃんと言うんです。

日本人とアメリカ人の違いを感じるとともに、直接人に思っていることを伝えたり、自分がなにか得られるまで聞いたりすることはやっぱりすごい大事なことだなと思いました。そういった点は(自分自身も)アメリカに来てから変わったかなと思います。

あと、面白いなと感じるのが、英語を喋っている時の「自分」と日本語を喋っている時の「自分」で性格が変わると(自分で)思うんです。

僕自身、日本にいた時はあまり喋るのが得意な方ではなかったんですが、英語で喋っているとオープンマインドというか、言いたいことを言えて(誰でも)すぐ仲良くできる。一方で、日本語で日本人の方と話すと、親しくなるのに時間がかかる印象があって(笑)

不思議とそういった言語による違いも感じています。

 

Q. 三浦さんの今後の目標について教えてください。

サルウェブ:三浦さんの目標や今後の展望について教えてください。

三浦:今はシーズン中なので、そこで良い結果を残すというのがまずは第一です。

個人的には、あと2年間アメリカの大学に通う期間が残っているので、しっかり卒業すること。

そして、卒業後にプロサッカー選手になるというのが今の目標です

 

Q. サルウェブのサービスについての印象を教えてください。

サルウェブ:サルウェブのサービスに対する印象を教えてください。

三浦:純粋に、良いサービスだなと思っています。

僕の場合、契約をしたエージェントのWithYouさんはそもそも紹介で知りましたし、他のエージェントについても分からなかったので、エージェントを比較するという選択肢もなく決めたんです。

ですが、同じ様に留学したまわりの友達の中で、(エージェントによっては)留学後に一切サポートが受けられなかったとか、他の会社を利用すればよかったとか、そういった声を結構聞くんです。それを聞くと、やっぱりエージェント選びってすごく大事だなと思っていて。

なのでサルウェブさんのように、選手にエージェントの選択肢を与えてくれる立ち位置はすごく良いなと思います。

僕はWithYouさんにすごく良くしてもらいましたが、もちろん一つのエージェントしか利用したことがないので、他のエージェントと比較してどうなのかということは正直わかりません。

そんな中で、視野広く中立的にエージェントを比較できるサルウェブのサービスは選手にとって役立つのかなと思います

 

Q. 最後に、アメリカ留学を考えている選手に向けてアドバイスをお願いします。

三浦:まず、もしアメリカ留学をしようかどうか迷っているなら、した方が良いです。

絶対後悔しないと思いますし、人生の中ですごく価値のあるものにできるんじゃないかなという風に思っています。

タイミング的に今すぐ留学したいという場合とか、英語力が不足していたりで、大体多くの人はジュニアカレッジからスタートすると思うんですけど、もしアメリカの大学の中でもより良い環境でサッカーをしたいのであれば、ジュニアカレッジの中でもトップクラスの大学に行くということを僕はお勧めします。

もちろん勉強をしっかりしてTOEFLで良い点を取ることも重要ですが、まずはここで良いチームに入らないと、良い大学に編入すること自体が難しくなってくるんです。

大学については検索すれば出てくるので、まずはしっかり調べてみること。その上で、エージェントと相談しながら決めていくことが大事ではないかと思いますね。

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